株式会社タカ マテリアル アンド システムズ研究所
インクジェット印刷は、多くの要素が機能的に連携してはじめて成立する総合技術です。インク、プリントヘッド、記録メディア、プリントメカニズム等の要素からなるフローの全体最適化によって完成し、美しい仕上がりの印刷を実現します。
そして、その中核技術ともいえる存在が、インクなのです。インクには多くの機能が集約されており、印刷に際しての吐出安定性、インクの定着性能、画像品質、長期印刷安定性等の性能を決定づけます。
インクと顔料分散液とは表裏一体の関係にあります。
インクジェットヘッドからインクを安定吐出させるためには、粘度、表面張力、pH、部材との濡れ性等の静的、動的挙動の物性値を調整しなければならない。物性値調整のために用いる様々な有機溶剤や界面活性材等の中には著しく異物や気泡を発生させるものがあります。
異物や気泡は、ノズル目詰まりやインク滴吐出曲がり等を発生させる最大原因であるため、それらを抑制しながら、物性値調整を行いバランスの良い組成への組み合わせを行います。
広い色再現範囲、粒状性の低減、滑らかなグラデーション、高い定着性能、耐水性、耐光性、耐ガス性などの実用的な保存性等、最終的な記録物に求められる性能は多岐に渡っている。
それらの性能を安価な記録メディア印刷においても確保します。
記録メディアへのインクの定着性能を高めた場合、色材の凝集・固化によるノズル目詰まりが発生し易くなるため、プリンター側にその防止機能を設けなければならず、大きな負荷を強いる事になります。
逆に、定着性能を低下させてヘッド内での目詰まりを抑制する組成とした場合には、プリンターのインク定着機構への過大な負荷がかかってしまいます。
そのトレードオフ要因をブレークスルーし、プリントメカニズム全体のコストやメンテナンスの容易さまでも考慮してバランスの取れた組成に最適化します。